2007年
6月21日 新刊発行

 (表紙写真提供:BUSINESS WEEKLY)
70歳
 太平洋処女航海

<序文>

元ヤマハ発動機会長
              長谷川 至


発行日:平成19年6月21日
ISBN978-4-901298-08-7 C1010
著者   村田和雄
価格   1800円 消費税別
B6版   約320頁
発行所  (株)エイバックズーム
発行者  堀部 茂遠
<目次>
第1部 太平洋横断
 第1章 決行準備
 第2章 出発港、
       和歌山への回航
 第3章 1人ぼっち、
       96日間の航海記
 第4章 夢の余韻
第2部 夢の歴史
 第1章 夢のはじまり
 第2章 仕事人間
 第3章 夢に備えて
第3部 友への便り
 第1章 厳冬1人合宿
       (中島からの便り)
 第2章 海からの便り
終章 71歳で思うこと 
あとがき
解説
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<はじめに><著者プロフィール>  <出版社のコメント>  <著者インタビュー>   TOPにもどる
<メロディー/ダイヤモンドがお好きなら>     

 序文

 日本は四方を海に囲まれているけれど、オーストラリアやニュウジーランドなどの島国と比較して人口当たり、或いはGNP当たりのヨットの数が極めて少ない。そして彼らと比べて日本ではヨットが日常の生活と密着していない。日本では過去半世紀以上、学生ヨットがその主流を占めてきた。学生時代は精を出してヨットに乗るが卒業後は会社勤めで忙しくヨットから離れた生活となっていく。ヨットをやった人たちは誰もが大海原での航海を夢見ているが、その機会がもてないままにサラリーマン生活を終え夢は立ち消えになるのが日本のヨット界の今までの歴史であったと思う。

 ところが村田さんは70歳にして処女航海で太平洋を単独で横断するという快挙を成し遂げた。現役時代「ユミクロン電池」という超高効率の電池を発明しアメリカ学会で発表したり、イギリスでは工場を立上げ成功させ、最後はユアサコーポレーション(現、株・ジーエスユアサバッテリー)の専務まで務めた。まさにサラリーマンを120%勤め上げて、卒業してからの快挙は新しい時代の幕開けといっても良いかもしれない。処女航海はすべてのことが新鮮である。44年前、当時23歳の堀江謙一さんが行った処女航海の偉業に触発された夢を、恐らくはもっとも年寄りの70歳で実現したのだから、本人は満足に違いない。日本からアメリカにわたる北太平洋はヨット乗りにとっても難しい航路の一つである。

 村田さんはこの航海を70歳の記念行事として行い、海を味わい、孤独を味わい、歴史を振り返り、人間を見つめ、自然を見つめることを目的としたが、海上での思いを国内外の友人達に50篇にも及ぶ海からの便りとして送ってきた。しかも全部英文である。このあたりはいかにも実社会を十分に経験してきた男の航海として、単なる航海ではない特色をもっている。また、この50篇の便りが、日本人よりもむしろ多くの外国人に注目され愛読されていたとは驚きである。

 処女航海の恐怖、そして大海原でどのようなことを考えてきたのか、あるときは哲学をし、あるときは詩をつくり、あるときは200年後に思いを馳せて表現した彼の思いを一味違ったものとして読者はこの本のなかに見出すに違いない。

 航海記なども加えて今回出版の運びとなったことは、これから巣立っていく団塊の世代の人々にとっても勇気と夢を与えるものと思う。

                       2007年5月  友人 元ヤマハ発動機会長 長谷川至
 


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