翻訳者のための

特許法の基礎知識


特許法(昭和34年(1959)4月13日法律第121号)

              最終改正:平成26年5月14日法律第36号

27年修正第2版=

 

弁理士 鈴木 伸夫

                                     

 目次           

T.発明と特許        2

U.特許出願         5

V 手続の補正        7

W 出願公開         9

X 審査           10

Y 特許出願の特例      12

Z 査定           14

[ 特許権          15

\ 審判           17

参考書/特許情報のWEBサイト   19

特許出願手続きの流れ     20

 

  サンプルです。
★教材の項目の多くに音声での【追加解説:Voice】がついています。
「Voice」をクリックすると、音声の解説を聞くことができます。

 

 

 

 

 

(株)エイバックズーム


 

 

T.発明と特許

 

 特許法の目的は、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与すること」と規定されている。

 すなわち、新しい技術を開発し、それを公開した者に対し、一定期間、一定条件下に特許権という独占権を付与することにより発明の保護を図り、他方、第三者に対しては、この公開により発明の技術内容を知らしめて、その発明を利用する機会を与えるものである。そして、発明のこのような保護及び利用は、発明の技術的内容を公開するための技術文献及び特許発明の技術的範囲を明示する権利書としての使命を持つ明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「明細書等」という。)を介してなされることになる。      解説 Voice

 

1.発明の定義

 発明は、2条1項において、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義している。             

 

   ■■コメント■■

発明の定義の条件

  自然法則を利用したものであること               解説 Voice2

   自然界において見出される法則性をもつ原理・原則

技術的思想であること                       解説 Voice3

   保護されるのは具現化された「もの」ではなく、「もの」を作り出した「アイデ

   ア(思想)」が保護の対象となる。

創作であること                            解説 Voice4

   以前には存在しなかったものを作り出すことである。発見は保護対象には

   ならない

高度のものであること

   実用新案法における『考案』の定義には「高度」という要件はない。

注)米国特許法では、「発明とは発明および発見をいう」(100条)

と定義し、「自然法則を利用」したもの、という要件はなく、また「発見」も保護対象とされる。

 

2.発明のカテゴリー            解説 Voice5

 発明の「実施」とは、カテゴリー(物の発明、方法の発明、物を生産する方法の発明)毎に定義されている。(特許法23項)

 (1)物の発明とは、その物の生産、使用、譲渡、輸出、輸入、譲渡の申出をする行為とされている。

 (2)@方法の発明は、その方法の使用をする行為、そして、

   A物を生産する方法の発明は、さらに、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出、輸入、譲渡の申出をする行為とされている。

                          解説 Voice6

 

  ■■コメント■■

 このように、特許法には「発明のカテゴリー(種類)」自体を定義する規定はなく、「発明の実施」に関する規定を通して発明のカテゴリーを定めている。

 上記の規定で、特許法では、発明を「物の発明」と「方法の発明」に大きく別け、さらに方法の発明として「物を生産する方法の発明」という種別を設けて、発明を3種類に分類している。従って発明の表現方法として「物の発明」であるのか「方法の発明」であるのか明確に表現することが求められる。

  

 (サンプルにつき、以下省略)